2013年07月28日

フィンランド軍入門について

フィンランド軍入門について



 今回は、イカロス社より出版されている『フィンランド軍入門』内の
軍装解説の間違いについて解説したいと思います。

まず最初に申し上げておきますが本自体は
とても素晴らしく、参考になる内容です。

しかし、残念なことに軍装解説のコーナーに関しては
解説者の思い込みや勘違い、理解不足から間違いが多く
多くの読者に誤解を招いてきました。

今回はその間違いやあいまいな部分を解説したいと思います。

・277ページ下段の写真について
解説者は兵士らの着用する軍服を1922年以前のものと
しているがこれは誤りである。
この服は、1922年型の野戦服であり常勤服とは違い
プルオーバー形式になっている。

また上段の写真の解説にて『山岳帽』と呼称しているが
フィンランドではこの帽子を『バケツ帽』または
『スキーキャップ』と呼んでいる。

・278ページ下段右の写真について
m19とキャプションにあるがこれはm22型である
階級は下級軍曹ヘルシンキ、またはポリの歩兵連隊所属である。

・287ページズボンの解説について
解説者の説明では佐官と尉官においてラインやパイピングが
違っているかのように書かれているが間違いである。
佐官と尉官は同じ既定の物を使用する
正確にかき分けるならば『兵、下士官・士官・将官』である。


また下段右の写真のキャプションが『中尉』になっているが
『中佐』が正解である。

・289ページ”迷彩装備”について
ソ連軍に関してではあるが解説者は偏見からか
ソ連軍が雪に不慣れで雪中迷彩を知らないと書いている。
しかし当時、赤軍にはシベリアからやってきた兵士も多く
有名なフョードル・アフラプコフもその一人である。

雪中迷彩に関してもすでにロシア内戦などで使用されていた。

・336ページ”階級”について
この解説には准尉が抜けている
准尉は曹長の階級にある30mmのくの字が
若干後ろに下がり前部に剣をあしらった真鍮製の
モノグラムが付く。

・339ページ”マンネルヘイム十字章”について
解説者はこれを”マンネルヘイム十字章”と紹介したが
間違いであり、これは自由十字章4級で一般的な勲章である。

・340、341、344ページの軍装解説について
340ページ上段の雪中迷彩の狙撃兵の解説において
『防寒ミトンは官給品ではなく私物』と解説しているが
これは正式な軍の官給品であり、当時の装備品一覧で
確認できる。

341ページにおいてヘルメットをドイツ軍m35型としているが
これは、ドイツのm40型を戦後改修したm55型ヘルメットである。

344ページの解説はもっともいい加減なものである
イラスト2の解説において歩兵大佐となっているが
ズボンの側線、パイピングは軽歩兵(猟兵)のものである!

歩兵大佐であれば25mm幅のダークグリーンのラインが一本である。
フィンランド軍入門について



また、m/27野戦服がグレーに描かれているがカーキ又は
グレイッシュグリーンが正解である。

そのほかにも細かいところの間違いが見受けられるが
今後はこういった間違った情報が少しでも排斥されるよう願っています。








Posted by buriba at 19:07│Comments(3)
この記事へのコメント
はじめまして。
マイナー軍隊ですけど[失礼な]詳しい人はいるんですね。
まだ、本誌は手元にありませんが、買った時は、しっかりと
参考にさせていただきます。またの投稿、期待しています(  ̄▽ ̄)
ではまたです。
Posted by 頭の中は妄想 at 2013年07月28日 19:24
フィンランド軍は、ソ連と戦争した国なので気になって本を買ったのですが、歩兵装備の解説は解説者の思い込みが入っていた解説なのですか…
間違った知識を得てしまわないように、buriba様の解説と併せて本の解説を読んでみようかと思います。
Posted by 解説者の店を利用しているので匿名で… at 2013年11月07日 11:33
少しでもお役に立てれば励みになります。
Posted by buriba at 2013年11月11日 16:28
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